理念

つくる楽しみを身近に

 アトリエ・クラフトロンのもっとも根源にある理念は「何かをつくる過程にある楽しみを知ってもらうこと」です。
 「何かをつくる」という言葉は、何も工学分野に限った話ではないと私は考えます。牛乳パックや割り箸を使った工作でも、フェルトや刺繍を使った手芸でも、公園で遊びのルールを考えることも、クッキーやケーキづくりも、自分自身でそこに価値を生み出していることに変わりはありません。そしてその過程にはたくさんの学ぶことがあり、身につくことがあり、そして楽しみがあります。
 一方で現代において、自分で何かをつくる必要性は薄くなってきています。玩具もゲームも雑貨も菓子も、大量生産で容易に手に入ります。できあがったものがいつでも手に入るこれからの時代、「つくる楽しみ」はすぐにでも忘れられてゆくでしょう。
 しかし、つくらないから知るチャンスがないだけで「つくる楽しみ」が消えてなくなるわけではありません。人が何かをつくろうとしたとき、いつの時代にもそこには楽しみがあります。そのチャンスを用意したいというのが私の考えです。 

カレーパンのカレー

 これは私がよく使う例え話です。カレーパンはパンの部分だけでもおいしく作られています。ですが、1番おいしい部分はやはりカレーと一緒に食べられる部分です。ものづくりの楽しみもこれと同じです。世間では情報教育が騒がれ数多くのプログラミング教室ができました。プログラミングが身近になり気軽に始められる場が増えたのはとても嬉しいことです。しかし、プログラミングの一番の楽しさである「頭を使う」部分まで深められているかは疑問が残るところです。せっかくカレーパンに興味を持ってくれたのに、もしカレーまで食べずに違うものを食べ始めてしまうとあっては、それはとても残念なことです。
 一昔前まで、ものづくりという分野でこの「カレー」を味わうには大学で専門的な道を選ぶ他ありませんでした。しかし今、趣味の範囲でも十分にものづくりを深めることのできる時代になりました。入門向けのビジュアルプログラミング言語や無償の開発環境、安価で扱いやすいマイコンや3Dプリンタなどの登場がその例です。
 ただ一般人でも手が届くとは言え、ハードルはまだ残されています。これらを乗り越えより一歩踏み込んだものづくりへの案内人になりたいというのが、アトリエ・クラフトロンを作ろうとしたきっかけです。

頭を使う

 つくることの楽しみは頭を使うことに他なりません。こうしたら作れそう、こういう材料や道具が必要だ、前はこれで失敗したな、こんなものも試してみよう…。人が何かをつくるとき、自身の経験や学んだ知識、使えるものなどをフル活用する瞬間があります。つまらないことに頭を使わされるのは大変なストレスですが、自分のアイデアが少しずつ形になっていくものづくりではここに楽しみがあります。
 やらされたことは身につきません。しかし自分の作品を作るためであればたくさん試したり、知識を学びに行ったり、失敗を分析したり、仮説を立てたりといったことが必要になる場面もあります。創意工夫、試行錯誤、論理的思考などと呼んだりしますが、これらは強要されていては到底身につくものではないでしょう。

おもしろい方を選ぼう

 少し長くなりましたが 理念は「何かをつくる過程にある楽しみを知ってもらうこと」に他なりません。 知らずに選ぶか、知った上で選ぶかには大きな違いがありますので、その可能性を広げる手伝いができればと思います。もし共感していただけましたら、こちらからご支援いただけますと幸いです。